1、はじめに
昨今の社会情勢もあり、個人手配で中国本土をわざわざ旅行する人は多くないと思います。
この記事では私がこの2年で3回中国での観光+現地での仕事をしてきた記録を通じて、中国で無理なくワーケーションが可能かの記録をしておきます。
同じように、最近の中国滞在に興味がある人にお役に立てば幸いです。
2、私が訪中した記録
一度目は2025年の春に深圳に5日間滞在しました。
航空会社は往復ANAの直行便で、滞在先は現地資本系の4つ星ホテルのサンフラワーレジデンスという場所です。


二度目は2026年春に重慶で5日間滞在しました。
航空会社はANA+チャイナエアラインで、行きは北京乗り換え、帰りは上海乗り換えでした。滞在先はシンガポール資本の5つ星のアスコットラッフルズシティ重慶というホテルです。


三度目は2026年初夏に大連で5日間滞在しました。
航空会社はANA。滞在先はフランス系の5つ星のノボテル大連中山広場というホテルです。


3都市とも、視察+観光をメインに、毎日1時間〜半日程度を若干の仕事(主に文章作成と電話会議)も行うという日程で過ごしました。現地滞在の内容は当記事の意図ではないので省きます。
結論から言うと、ワーケーションは可能だが障害もいくつかあり、全ての人には勧められないということです。
3、行く前の懸念点
主に3つの点が気になっていました。
- 1つ目は支払いです。中国の都市部ではQRコード決済がほぼ唯一の決済手段になっていると聞き、実際どうなのか、また日本人にも使えるのかということです。
- 2つ目は通信です。そもそもネットに繋がるのか、wi-fiはあっても安全なのか、という点です。
- 3つ目は中国当局によるネット検閲です。Google系サービスが使えない状態で果たして業務ができるのかということです。
これらについて、順を追って解説します。
4、実際のところ
支払いについて
想像以上にアリペイとWeChatペイでのスマホ決済が盛んで、現金とクレジットカード(銀聯除く)はほとんど使えませんでした。特に街中の小さい食堂はスマホ決済のみの場所が多いです。
高級ホテルやレストランではクレジットカードが問題なく使えますが、日常でクレジットカードが使えないのは日本人には不便です。


予想はしていたので、出発前にアリペイとWeChatペイをスマホにインストールし、クレジットカード(ダイナースとVISA)を紐づけておきました。
現地では店舗での支払いは問題ないものの、公共交通機関に関しては支払いが無効になってしまいました。これは、交通機関では銀行カードと紐づけていないとモバイル決済が認められないためのようです。


かといって地下鉄の券売機で現金が使える場所が少ないのがネックでした。しかも空港の地下鉄駅の券売機で、深圳ではごく一部の場所のみ、重慶では目につくすべての券売機でしか現金が使えなかったのです。
しかたなくタクシーを使いましたがタクシーの支払いもスマホ決済できなかったらどうしようと内心焦りました。こちらは問題なく決済できました。


またアリペイについては2回目の訪中の支払いで、限度額を超えました、とエラーが出て急に使えなくなりました。アリペイのアプリで原因を探り問い合わせをしようとしたのですが、UIが複雑すぎて、解除方法がわからず困りました。幸いとWeChatペイが有効だったのでことなきを得ました。
ChatGPTに状況を説明し解決方法を聞くと、複合的な要因が考えられ、解決のためにはアリペイを再インストールし、カードを再登録しかないようです。
アリペイのUIはガチャが多いソーシャルゲームのようです。現地の方には楽しいのかもしれませんが、基本的なことが解決しづらいのは日本人には困りものですね。

スマホ決済は中国の革新的な決済手段だと思います。
ただし日本人にとっては不安定で、決済のたびに無効だったらどうしよう、と緊張感を強いられる決済手段という一面があります。今後のことも考えるとなんとかしたいです。
通信
中国はネット検閲が行われ、日本人にとっては見られるサイトが制限され不便な環境です。
しかし嬉しい誤算だったのですが、楽天モバイルでのデータローミングを経由すると日本と全く同じようにネットが使えました。楽天モバイルは特に切り替えの必要もなく、中国につくと自動的に提携先の現地キャリアに切り替わります。他キャリアのように勝手に高い海外キャリアに繋がりパケ死という恐れは無用でした。
基本的な高速データ通信容量は月2GBまでで、足りなくなった場合はアプリから追加の申し込みができます。2026/3現在で2GB1000円です。

日本国内では通信スピードのよくない評判もある楽天モバイルですが、海外に持って行くなら最強のキャリアだと、中国に限らずいつも思っています。
以前行った国にはエチオピアなど楽天モバイルの提携対象外の地域はありましたが、主要国に限ればわざわざ空港でポケットwi-fiを借りる必要もないと思いました。
なおホテルなどでwi-fiにつなぐと検閲でGoogle系サービスとXが使えなくなり非常に不便です。Yahooは使えますが、検索すると結果が表示できなくなります。これは検索エンジンにGoogleを使っているからでしょう。
中国で一般的な検索サイトはBaidu(百度)ですが、最初百度のサイトのURLがわからず、また検索もできなくて探しようがなく、少し焦りました。
なおフェイスブックやZOOMは使用可能でした。またAIについてはwi-fi環境でもChatGPTは問題なく使えました。中国系サービスのLarkももちろん問題なく使えました。
中国の面白いところは、ネット検閲でグローバルサービスが使えなくても、国産で同様のサービスが開発され、またマーケットの人口の多さからそれが単なる代替サービスにとどまらず、極めて独自性のある強力なプラットフォーマーになっていることだと思います。
例:
- Google=百度
- Googleマップ=百度マップ
- アマゾン=アリババ
- LINE=WeChat
- DeepL=Papago
勤務環境について
私の見た限りですが、中国では、日本、アメリカ、韓国などとは違い、カフェなどでノートパソコンを使っている人をほとんど見ませんでした。あまり外で仕事をする習慣がないのだと思います。

コワーキングスペースや仕事ができるホテルラウンジのような場所も見た限り見当たりませんでした。ネットカフェは多いですが、業務向きではないと思います。外よりは基本的にはホテルの部屋で仕事をすることになると思います。
ただしホテルの部屋は、4つ星以上の新しいホテルであれば、基本かなり広く余裕がある空間だと思います。これは宿泊先もそうでしたし、予約サイトで多くのホテルを見た時も感じました。なので、ホテルの部屋での仕事はかなり快適だと思います。


5、万が一の不安があったこと
ここから先は確証がなく私の懸念に過ぎないのですが、通信の監視が行われ監視カメラも多く、またPCの没収や検閲の可能性がある国なので、不用意なリスクをさけるべく、以下のことに気を付けていました。
- 重要情報は持ち込まない
- 請負仕事はせず、自社業務しかしない
- クラウドストレージとの連動は切り、ローカルには必要最小限のファイルのみ残す
- ネット証券、ネットバンクなど金融機関へのオンラインアクセスは避ける
- パスワードなども訪中に必要な最低限のものしか持ち込まない
特にPCを見られたり検閲されることはありませんでしたが、不用意なリスク回避が自分にも中国当局にもお互いのためかと思い、今後もこの習慣は継続したいと思っています。
6、ワーケーション環境としての中国を考える
昨今、多くの日本人は訪中を敬遠しているとおもいます。ただし政治的な見解を抜きにして現地に行ってみれば、実際は滞在先として面白い国だと思います。
- 物価がリーズナブル:おおむね日本の半分から7割ぐらいといった感覚です。特に交通機関の安さには驚かされます。
- 資本主義の最先端が見られる:この40年を改革開放で継続してきた国です。商業施設も不動産も開発規模が大きく、ギラギラした資本主義の最先端の勢いと歪みが多く垣間見られ、刺激的な光景です。
- 食事が美味しい:リーズナブルでハズレが少ないと思います。もっとも同じような店が多く日本ほど外食のバリエーションがないとも思いました。
- 高級ホテルが安い:4つ星、5つ星ホテルが1万円台で宿泊できます。部屋が広く建物も新しく、宿泊体験が総じて楽しいと思います。


7、結論
総じて、今だからこそ見ておく価値のある国であり、また業務内容を絞ればワーケーションも可能な国だと思います。
勤務環境が許せば、今行くべき場所だと思います。私も他の都市も引き続き掘ってみようと思っています。

