1、スパルタの戦士とは
スパルタとは
この記事では、古代ギリシャ最強といわれたスパルタ戦士の強さを支えた、お互いがお互いを守る仕組みと、現代に活かせる教訓についてお話しします。
私の好きな映画に“300”(ザック・スナイダー監督)があります。ギリシャに攻め入った地を覆うばかりの300万人のペルシャ帝国の大軍をたった300人で迎え撃つスパルタ軍の映画はご覧になった人も多いと思います。

テルモピュライの戦い
紀元前5世紀の史実のペルシャ戦争で実際にギリシャに攻め入ったペルシャ軍は300万人ではなく30万人程度だったようですが、それでも300人の決死隊がペロポネソス半島テルモピュライの隘路の地の利を生かして戦い、何度もペルシャ軍を打ち破り何万人もの兵士を討ち取り、同盟国の裏切りで後ろに回り込まれて玉砕するまでペルシャ軍を3日間足止めしたことで、ギリシャの都市国家連合の勝利に大きく貢献したのは確かなようです。

映画ではレオニダス王以下300人の戦士たちが彫刻のようにマッチョで超人的な活躍をするので(ペルシャ帝国軍のほうも巨人やゾンビのような不死隊など、史実ではなくファンタジー映画のような誇張がありましたね)見落としてしまうのですが、スパルタ戦士の強さには、現代を生きる私たちにも教訓になる秘密がありました。
2、強さを生んだ仕組み
スパルタへの強さ
ここからはスパルタ兵の強さを支えた仕組みを見ていこうと思います。なぜスパルタ兵はこれほどの強さを発揮できたのでしょうか。
ハイテクだったのでしょうか?
→ いや、槍と盾という非常に素朴な装備だったようです。
豊かだったのでしょうか?
→ いや、古代ギリシアの中でも貧しい地域だったようです。
個々の戦士が抜群に強かったのでしょうか?
→ それは多少の影響があったのかもしれませんが、ただ強かったのではなく、個々の強さを最大限に引き出す仕組みこそが秘訣でした。
強さの仕組み
それは、お互いがお互いを守ることが非常にうまく仕組み化されていたことです。

スパルタの戦士は、武装と戦争の義務と引き換えにスパルタの市民権をもち、政治に参加する特権を有する市民です。彼らは重装歩兵として全員が槍と大きい盾を持ちました。盾は自分だけを守るのではなく、右半分は自分を、左半分は隣の人を守るようにして並ぶ。自分の右半分は隣の人に守ってもらうのに委ねました。

列の一番右は守ってくれる人がいないので一番勇敢な人がポジションにつきました。でも勇敢さを証明できるので、危険な場所こそ皆が競って就きたがる名誉あるポジションでした。またファランクスの中でも兵士はペアを組みました。ペアは力の強いものと弱いもの、老人と若者、というようにあえて弱点があるものとペアを組ませることでお互いに助け合うようにしたといいます。

こうしてお互いがお互いを守り、全員で隙間なく盾を構えて隊列を組むファランクスと言われる戦法で戦いました。弓矢・槍・投石などあらゆる攻撃を防ぐ守りの堅さは、無類の強さを誇りました。個人の武勇ではなく、お互いがお互いを守ることを仕組みにしたことで、普通に戦うよりずっと強さが引き出されたと言います。
3、なぜ相互尊重が強さを生むか
強さを引き出した3つの理由
なぜこの仕組みで強さが引き出されたのでしょうか。推測ですが、大きく3つの理由があったのではないかと私は考えます。
一つ目は安心感でしょう。相手を守ることで自分も守られ、この信頼感が何より自分だけでは得られない安心感を産んだのだと思います。
二つ目は、弱点を欠点にせず、むしろ他の人の強さを引き出すきっかけにしたことでしょう。
三つ目は、メンバー全員が危険を負う対等な立場ながら、一番右側を守る人のように、突出した能力を名誉として称えたバランス感覚の良さでしょう。

これらの理由が相まって、戦士として対等で一体感があり、強さが引き出せ、かつ危険に対する報酬も名誉として与えられる構造が出来上がっていたのだと考えます。
古代ギリシャに共通する精神
お互いが庇い合う仕組みが個人の力を引き出すという心理は古代ギリシャではよく理解されていたようです。同じく都市国家の強国だったテーバイでは、150組300名の男性の恋人同士がペアを組みお互いを庇い合いながら戦うことで無類の力を発揮した神聖隊という精鋭部隊が有名です。この神聖隊は、一時期はスパルタやアテネを破って古代ギリシャの覇権を握るほどの強さを発揮しました。
これらのことを描いた“炎の門”(スティーヴン プレスフィールド)という小説があり、スパルタの心理を描いて大変興味深い小説でした。現在絶版なのが残念でなりません。

※画像は Amazon.co.jp 商品ページ(文春文庫「炎の門 小説テルモピュライの戦い」)より引用。
4、現代の私たちに生きる教訓
現代ではスパルタ教育、という言葉があるように、古代国家スパルタには過度な精神主義のマイナスなイメージがあるのは確かです。
しかしいったん先入観を持たずに事実をみると、そこには同時に限りない戦士同士の信頼と相互リスペクトがあることがわかります。私はここに、現代人の共同体や企業での仲間意識のヒントがあると考えています。

みなさんの会社でも、お互いがお互いを助ける仕組みを構造化することで、一人ひとりの強さをより引き出せる、そんな機会がつくれないか考えてみませんか?
・オーナーと従業員
・管理職と社員
・社員同士
お互いの信頼と相互リスペクトを築き、相互尊重を通じて自分と相手が共に守られ安心感がある、そんな組織が作られれば、いる人は無類の強さを発揮できることは確実でしょう。
信頼と相互リスペクトが守り合う力を生む――古代の叡智は、今も私たちの職場を強くできるはずです。
当社では、社員の相互尊重を強化するための、研修や教育についてのご相談も承ります。ご興味のある方は下記のお問い合わせボタンをクリックし、フォームにご入力ください。折り返しこちらからご連絡させて頂きます。

