11/6のコラムでは、漫画“左利きのエレン”を題材に、才能とは集中力の種類と入り方で決まる適性の発揮であるという話を書きました。
あくまでも作品内の仮説の紹介でしたが、今回はより実用に即して、自分の適性をどう見つけ活かすべきなのか、私の経験をもとに記しておきたいと思います。
1、適性を知ることの重要性
適性を知らないと回り道が多い
若いうちから自分の才能の適性をよく知っておく重要性は、人生で最も大事なことの一つである、と最近よく思います。
ここからは私の主観的な話ですが、私の世代(氷河期世代)は、若い人に個別の適性が顧みられることは殆どなく、明るいコミュニケーション力と協調性がなにより求められました。それ以外のタイプの人はよほど学歴と能力が突出していない限り評価されず、それ以外の人はむしろタイプを社会に適合するよう矯正される圧力がありました。
その結果、多くの人の適性が眠ったままになり、なぜ自分はうまくいかないのかと自信喪失につながっていた時代だったと思います。

私自身の反省点
私自身も求められるタイプの人間(明るい、外交的)に無理に合わせようとしていました。人前で何とか演じることはできるし、自分もそういうタイプであると思い込もうとしていましたが、年齢を追うごとにだんだん無理が出て、一人の時はどっと疲れが出るようになりました。しかし自分を省みる習慣がなく、理由を考えることもありませんでした。
恥ずかしい話ですが、自分が明るく外交的なタイプではないと気がついたのは、40歳を過ぎた頃だと思います。何冊かの書籍を読む中でようやく気がつきました。ただし、この気づきがあったことで、思い込みから解放されようやく自由になれたと感じました。もっと早く知っておけば無駄な努力をせずに済んだのに、と今でも思います。

2、ツールを使い適性を見つける
人気のツールを使う
今は多様な働き方が認められる上、適性を客観的に知るツールも多く出ているので、早めに適性を知り、それを活かせる働き方を目指すのが、人生の長期的な幸福に役立つと思います。
近年ではユング心理学をベースにしたMBTI(Myers-Briggs Type Indicator)診断が人気ですね。自分のタイプを知ることは、適性の面からも、自分のキャラを確立していく意味でも有効だと思います。

ただしMBTIは人をキャラ的に分析できる抜群の面白さがあるのですが、科学的な実証に乏しい経験則的な面が強く、実証的にビジネスで使うものではないと考えます。プロフェッショナルが構築したより信頼性の高いツールとして私がお勧めするのは、ストレングスファインダーです。
ストレングスファインダーとは
これはアメリカの調査会社ギャラップが開発したツールで、100個の質問に答えることで34個の思考や人格の特性から、自分の強みが何にあるのかを判定してくれるものです。大手企業の方ならすでに使用した方も多いと思います。
ギャラップは、アメリカで90年の歴史を持つ世論調査の大手企業であり、信頼性の高い会社だと考えます。
実施の仕方は、この本を買い、中に入っているクーポンコードを使ってギャラップのサイトからテストを受けます。自分の適性は変わるものではないので、生涯一回のテストで良いそうです。

※画像は Amazon.co.jp 商品ページ(さあ、才能(じぶん)に目覚めよう 最新版 ストレングス・ファインダー2.0)より引用。
3、ストレングスファインダーで学んだこと
ここからは私の診断結果をお見せし、私が何を学び、どう活かしたのかを具体的に記録しておきます。

強みとして特に原点思考が強いことで、歴史や過去の事実を参照する傾向があることが言語化されました。また収集心や慎重さ、未来志向といった面も客観的に評価されて初めて気づいた点でした。
同時に他人を導き励ましていく能力である協調性、回復志向、包含、成長促進がほぼ最下位にきています。これらはまさに苦手なのに、仕事のポジションの必要から無理に得意だと思いこもうとしていたことでした。
4、個人的に何がメリットだったか?
これを見たとき40代で初めて自分が感じていた強さや弱さが言語化されていた気がしました。言語化というのは本当に大事で、自分についての確信が深まり、人と話す時の根拠にもなります。この結果がなければ多くの場面でアピールの機会を逸していたかも知れません。
苦手なことについても同様です。もう少し上手く苦手だと早めに認識していたら、もっと早く人に頼ったり、相談したりできたでしょう。その主張の根拠にもこのツールは役に立っていたと思います。

更に、ただ自分自身で結果を見るだけでなく、ストレングスファインダーのコンサルタント資格を持った人間のコンサルティングを受けることでより理解が深まります。
私の結果を見たコンサルタントからは、特に過去から物事を考える原点思考と、未来から現在を考える未来志向が並立するのは極めて珍しく、これを活かすことが唯一のユニークネスになるという評価でした。

それ以来、いつもこの特性をどう活かせるか、が私の一つのテーマになっています。
5、自分を知ることが何をもたらすか?
無駄な努力を回避する
特に若いうちから強みを知っておくことは、自分のキャリア形成で無駄な努力をすることが回避でき有効だと思います。
また私のようにキャリアがもう決まった中高年になっても、強みを初めて知ることは、若干の後悔を含めて自分の人生を振り返ると共に、その後の人生でのストレスを避けるために有効なのではないかと、この経験から思いました。

大人は自分の能力を自分で知る責任がある
特に大人になると、自分がどういう適性をもっているかを客観的に教えてくれる人は周囲でほとんど出会わないと思います。
これは人間の属する社会が子供〜学生時代はゲマインシャフト=地縁・血縁主義的社会で、親や教育者が能力を評価してくれるのに対し、大人の社会はゲゼルシャフト=機能主義的な社会で、成員が役割をどれだけ全うできるかで判断されるので、それ以外の適性は見られないからだと思います。
だから大人になると、なおさら自分で自分を知ることが大事になります。

6、適性を知る現代的意義
現代は平成時代に比べて働きかたの多様性がだいぶ高まった時代と言えます。
特に大企業に終身雇用で雇われ、組織に最適化しながら望まれる役割を演じ続ける必要があった平成時代に比べ、自分の勤務環境やキャリア設計をある程度選べるようになった点が現代のアドバンテージといえます。

ストレングスファインダーなどのツールで以下の点を意識しながらキャリア設計ができれば、生涯の幸福度に大きいプラスの影響があると考えます。
- 自分の適性と苦手なことを客観的に知る
- 自分が適性を活かせる、自分が役に立てる相性の良い人を見つける
- 職種の選択や転職などを含めて適性の発揮ができるよい勤務環境を作る
何のために働くのか
仕事とは金や権力のためではなく(もちろんその側面は否定しませんが)、自分の適性を最大限に活かせる機会を得られることがいちばんの幸福だと思います。
孫子曰く
- 彼を知り己を知れば百戦殆ふからず。(敵を知り自分を知れば100回戦っても危なくない)
- 彼を知らずして己を知れば一勝一負す。(敵を知らず自分を知れば勝敗は半ばする)
- 彼を知らず己を知らざれば戦ふ毎に必ず殆ふし。(敵を知らず自分も知らなければ戦うごとに危うくなる)
と言います。

自分を知れば、少なくとも必ずしも勝てなくても、大きく負けることはない。そして大きく負けすぎずまた勝負できることは人生で何より大事なことと言えるでしょう。
7、終わりに
当社では、提携するギャラップ認定ストレングスコーチによる、ストレングスファインダーのコーチングならびにその結果に応じた教育・研修の開発も承ります。こちらのお問い合わせボタンからぜひご相談ください。

